一体、となりの奴って? | - 2025/03/27
- 椎名誠氏の「ぼくがいま、死について思うこと」を読んだ。
そこに、ロシアのニジニ・ノブゴロドにある古いホテルに泊まったときのことが書かれていた(以下)
「事件は夜中に起きた。ぼくの隣の部屋にいた奴が午前2時ぐらいにいきなり暴れはじめたのだ。その暴れかたが尋常ではない。机か椅子などを部屋中にぶん投げているというような暴れ方なのだ。さらにぼくの寝ているベッドのすぐそばの壁を向こうから鉄の棒のようなもので激しく叩きまくる。・・・・・(中略)・・・・・ついに隣の騒ぎはだんだん間遠くになりぼくも疲労が加勢して眠ってしまった。やがてぼくは非常に不快でいまいましい朝を迎えた。レストランに行く前にさわぎまくっていた男の部屋の番号を調べておこうと思い、隣の部屋を見に行ったとたん、ぼくの頭は「真っ白」になった。隣には部屋などなかったのだ。」(ぼくがいま、死について思うこと より抜粋)。
そうそうそうそう‥‥と言ってしまいました。私も同じ体験をした。あるホテルの〇〇〇号室。
24時頃、うとうとし始めていたときに、ベッドの横の壁を隣の人が拳で叩いている音が聞こえてきました。その音の強さから、酔っぱらってベッドに倒れ込んで足で壁をけっているのだろうと思いました。まるで何かに腹を立てて蹴っているような。それがどんどん激しくなる。
も――我慢できない。そこでフロントに電話をすると「すぐ行きます」ということで男性の方が来ました。
電話をかけているときには音はしていたのに、その人が部屋に入ると音はしなくなりました。男性は「今は何も聞こえませんが、もしかしたらどこからかの音が響いてきていたのかもしれません」と言います。「さっきまですごかったんです。電話をしたときも」と言っても伝わらず。「とにかくここでは眠れないので他の部屋へ移してください」と言って午前1時に荷物をまとめ移動。そして、移動する際、一体、となりの奴って?と思い、隣の部屋を確かめようとしたら…‥隣に部屋はなかった。
この時、ぞわっとしました。そもそも部屋はないわけだからホテルスタッフとしては「隣から」と言われても…と思っただろう。はたまた、やっぱり出たか…と思ったか。
椎名さんの驚愕がわかります。きっと隣に部屋がないと分ったとたんに怖かったのではないでしょうか。なんだかわからないものっている。そして、わからないものは、やっぱり怖い。
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